有名作家の贋作をフリマサイトで売ると問われる罪とは?

有名作家の贋作をフリマサイトで売ると問われる罪とは?

昨日私のタイムラインに突如流れてきた奈良美智さんのツイート。

「逮捕してほしい・・・(激怒の絵文字)」

の文言と共に、添付されていたのはメルカリのスクショ画面が2枚。

パッと見は奈良さんのオリジナル作品のように思われたので、「原画の転売なのかな〜」と思いきや、よくよく見るとどうやら贋作(コピー品)をあたかも原画かのように販売している模様

奈良さんの作品に詳しいわけではないが、彼の作品は独特の柔らかい筆遣いやきめ細かい色使いが特徴であるのにも関わらず、メルカリで出品された作品にはその芸の細かさは感じられずのっぺりとしている。

明らかに短時間で描いたのが分かるほどに、かなり荒い筆遣いだ。

その価格、なんと2万4千円。

奈良さんクラスの有名画家の原画としてはかなりの破格であるものの、劣化コピー品としては高い気がする…

フリマアプリではこの件以外でも、有名な作家さんの作品に似せた絵やイラストを販売している出品者をこれまでも見かけたことがある。

おそらく頻発している事件なんだと思う。

問われる罪とは?

ということで、この件についてどのような法律に触れる可能性があって、また刑がどれくらいのものなのかを考えてみたいと思う。
何を争点にするか等によって変わってくるので、これが絶対な正解ではないことはご容赦いただきたい。

著作権法

著作権法21条 著作物の複製権違反著作物の複製権は著作者が専有する。
メルカリで出品された作品は著作者ではない。
そして奈良さんが公開している作品を真似して描く行為は「著作物の複製」に該当するため、著作物の複製権の違反と言える。
著作権法113条11条 著作者人格権を侵害する行為『贋作であること』を明示して販売していないので、原作であると信じて購入してしまった場合に作品のクオリティが低いことで、著作者の名誉や声望を害するおそれがある。
著作権法119条1項 著作権侵害の罰則著作権を侵害の目的を持って複製を行った者は10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金に処し、または併科する。
著作権法119条2項 著作者人格権侵害の罰則著作者人格権を侵害した者は5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金に処し、または併科する。
著作権法121条 原画と偽って複製物を頒布した者の罰則1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金に処し、または併科する。

最も重い罪で10年以下の懲役と1000万円の罰金の併科である。

著作権者が請求出来ること

差し止め請求

【著作権法112条(差止請求件)】
著作者は著作権を侵害する者に対し、その侵害の停止または予防を請求することができる

名誉回復等の措置請求

【著作権法115条】
著作権者は故意または過失(わざと)によりその著作者人格権を侵害した者に対し、損害の賠償に代えて、または損害の賠償と共に名誉もしくは声望を回復するために適当な措置を請求することができる。

損害賠償請求

【民法709条】
故意または過失によって、権利または法律上保護される利益を侵害された場合に、これによって生じた損害を侵害した者に対して損害賠償請求をすることができる。

何にせよ著作者(当事者)本人が行動を起こす必要がある。

弁護士に依頼するのが一般的であるものの弁護士費用には相当な金額がかかる。

また、著作権法に関する法律に強い弁護士は多数派ではないので、適任者を探すのも一苦労かも知れない。著作権法が属する知的財産法の専門家である弁理士も、多くが特許や商標を得意としていて著作権法に強い人も少数派な印象がある。

そんなわけで、できる限り安価で済ませたい方は文化庁が設けているあっせん制度を利用するのもいいと思う。

あっせん制度

文化庁の紛争解決あっせん制度を利用する。

利用料は申請時の手数料46,000円のみなので、弁護士を雇うよりは安価で済む。